25カ所目の活動地!岡山県西粟倉村、株式会社百森と連携協定を締結しました
8月5日、more treesは、岡山県西粟倉村(にしあわくらそん)および村内の森林を受託管理する株式会社百森と「森林保全及び地域活性化に関する連携協定」を締結しました。more treesにとって国内外25カ所目の活動地域の誕生です。
■”前例なし”に挑み続ける西粟倉村、株式会社百森
岡山県北東部、中国山脈の南斜面に開かれた谷あいにある人口約1,300人の西粟倉村は、面積の93%が森林を占め、うち約8割はスギ・ヒノキの人工林です。明治期から林業の村として栄えてきましたが、戦後の木材価格の下落や過疎化により手入れが行き届かず森の荒廃が進みました。
転機が訪れたのは2004年(平成16年)のこと。平成の大合併で全国の市町村が次々と合併するなか、西粟倉村は自立の道を選びます。生き残りを賭けた村づくりの主軸にすると決めたのは、村の最大の資源である「森林」でした。2008年、地域再生の旗印となる「百年の森林(もり)構想」を宣言。ここから前例のない森林事業がはじまります。
地権者約1,300人、6,000筆の土地に細分化された私有林の所有者と村が長期契約を締結し、放置されることの多かった森林の集約管理を村が主導しました。伐り出した木材の販売収益は森林所有者と村が折半する一方で、森林整備にかかる費用はすべて村が負担。さらに村内で立ち上がった森林の経営・管理に特化したベンチャー「株式会社百森」に森林管理を委託するという大胆な施策も打ち出します。林業の衰退や人口減少という日本各地に共通する課題を抱えながらも、村民・行政・ローカルベンチャーが連携して森林を守り育てる西粟倉の取り組みは、持続可能な森林づくりの先進モデルとして大きな注目を集めます。
画期的な森林整備システムの構築に加え、村内の森林から伐り出した原木の製材、加工、流通にも着手しました。独自の商品開発で木材として付加価値をつけ、既存の市場に頼らない販売方法も確立。木材関連ベンチャーも多数立ち上がり、地域内の経済循環が生まれました。前例にとらわれないこうした村の挑戦は、地域外の人々の共感を呼びます。西粟倉村への移住者が増え、起業家も育ち、これまでに62社がローカルベンチャーとして立ち上がるという快進撃へ。山あいの小さな村は「ローカールベンチャーの聖地」として全国的に知られるようになりました。
■more treesの「多様性のある森づくり」との共鳴
「百年の森林構想」によって地域の森林整備は進みましたが、課題もありました。地形などの理由により作業道が設けられず整備が行き届かない山林も数多く残り、そのままでは土壌が痩せ、集中豪雨による災害が発生するなど危険性が高まります。そこで木材生産に適した土地は引き続きスギ・ヒノキなどを植えて経済林として管理する一方、山頂部や河川沿などは天然林化して災害に強い山林を作ることが検討され始めます。「百年の森林構想」から10年後の2018年、初期の構想をさらに進化させ、より多様な視点で山林資源を活用し森林価値の最大化を目標とする「百年の森林構想2.0」が始動。スギ・ヒノキの一点賭けだけではなく、多様性のある森を目指していきたいという西粟倉の思いが、more treesの進める「多様性のある森づくり」と共鳴し、この度の協定締結へとつながりました。
▲左から株式会社百森 田畑直代表、西粟倉村 青木秀樹村長、more trees 水谷伸吉事務局長
■ひとつめの植林地
5月11日、協定に先がけて西粟倉村で植樹イベントを行いました。植林地は収穫期を迎えたスギ・ヒノキ伐採跡地の上部で、急斜面のため経済林に向かない0.63haの土地。多様な樹種の森を育むため、14種、630本の広葉樹を植えました。
植えた樹種(本数):コナラ(112)、クヌギ(112)、ミズメ(56)、クマシデ(56)、エゴノキ(56)、エノキ(56)、ウリハダカエデ(48)、 ウラジロノキ(41)、ブナ(31)、アワブキ(28)、ノグルミ(28)、ミツデカエデ(24)、アズキナシ(22)、ゴマギ(20)
▲植樹イベントには地域住民や村外の希望者も参加してくださいました。今回の植林活動は「企業の森」プログラムを通じて三井住友カード株式会社様にご協賛いただいています。撮影:SANSAI inc. 須藤公基
それから3か月ほど経ち、植林地を視察。植えた苗木が元気よく育っていました。
- ブナ
- アワブキ
- ミツデカエデ
今後、森づくりのパートナーのみなさまのご協賛、ご支援をいただきながら、西粟倉村での「多様性のある森づくり」を進めてまいります。前例なき道への挑戦、どうぞご期待ください。
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