森を舞台に大学生向け「オープンカンパニー」。青山商事様の森づくりin高知県梼原町
2025年9月9日~10日、高知県梼原町にて青山商事株式会社様主催の「オープンカンパニー」を1泊2日で開催しました。オープンカンパニーとは、学生が企業や業界への理解を深めるために行われるキャリア教育支援プログラムのこと。近年、「企業の森」プログラムの一環で森林空間をさまざまに活用する事例が増えていますが、「森を舞台にオープンカンパニーを行う」という青山商事様の試みは非常にユニークかつ先進的な取り組みといえます。昨年につづき2度目となる今回は、関東と関西から9名の大学生が参加。2日間にわたり「AOYAMAの森」の活動や梼原町における林業について学びました。
■オリエンテーション
梼原町に到着した学生たちは、まず青山商事 人材開発部からオープンカンパニーの趣旨について説明を受けました。アパレル業界は主要産業の中でも特に環境負荷が高いとされますが、青山商事は1998年から下取りサービスによる不要衣類の回収をはじめ、協力企業と共にリサイクル・リユースを通じた資源循環を推進してきました。その歩みについて耳を傾ける学生たちの姿からは、収益だけでなく環境や社会への企業の姿勢に関心を寄せる、環境教育を受けて育った世代ならではの意識が感じられました。
続いて、more treesの宮﨑より日本と世界の森林が抱える課題や団体の取り組みが紹介されました。高知空港からの移動で疲れが残るなかでも、学生たちは真剣に聞き入っており、学びへの意欲の高さが印象的でした。
■植樹体験
座学の後は、仲洞地区の「AOYAMAの森」へ。現地で施業を担う株式会社KIRecub代表・下村智也さんの指導のもと、植樹を行いました。植えたのは梼原町の町名の由来となったイスノキで、1人2本ずつ。9名全員が人生初めての植樹体験でした。
■木工体験
植林地から太郎川公園へ場所を変え、ヒノキのコースターづくりに挑戦しました。指導いただいたのはKIRecub木製品事業部担当の長谷川夏輝さん。ヒノキの丸太からの切り出し、やすりがけ、そしてレーザー加工まで一連の木材加工プロセスを体験しました。
■苗木園訪問
1日目の最後は、「KIRecub苗木園」を訪問して苗木づくりについて学びました。育苗から植林を経て木材加工へと至る林業のサイクルを体感する1日となりました。
■グループワーク
2日目は、「青山商事でやりたいこと」「今の自分たちにできること」の2つをテーマにしたグループワークに取り組みました。初日に学んだことを振り返りながらグループのメンバーと対話し、アイディアを出し、最後は発表へ。学生たちの真剣さが伝わる充実の発表内容でした。また、梼原町森林(もり)づくり脱炭素推進課課長の上田真悟さんにもご同席いただき、林業の課題や今後の可能性について座談会形式で意見交換を行いました。
ふだんの生活圏を離れて森と関わった2日間。学生たちは大学の垣根を越えた交流を楽しみながら、さまざまな気づきを得たようです。教科書的な森の知識が実体験と混ざって変化した、企業と環境活動のつながりの解像度が上がった、SDGs(持続可能な開発目標)の「開発」という言葉からは想像もしていなかったこと――森づくりが地域住民の活躍の場になり、人間以外の多様な生物のいのちを守ることにもつながる――に気づいた等、現地に足を運んだからこその学びや実感を持ち帰りました。
いつの日かまた、この森で彼らと再会できることを楽しみにしています。
more treesは、地域固有の風土や技術を活かしながら土地に適した樹種を選び植林・育林をする「多様性のある森づくり」、法人参加型の森づくり「企業の森」、クリエイターや地域の職人とコラボし木製プロダクトの企画・開発・販売などを手がける「ものづくり/空間プロデュース」など「都市と森をつなぐ」をキーワードにした取り組みを行っています。
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