ストーリー

地域の苗木、地域の塩、地域のビール。千葉県勝浦市・大多喜町で野原グループ様の森づくり体験ツアーを実施しました。

2026年4月18日、千葉県勝浦市と大多喜町で野原グループ様の森づくり体験ツアーを行いました。地域性苗木96本を大多喜町に植樹し、午後は勝浦市の塩工場・神社・ブルワリーへ。木を植えるだけで終わらない、「地域」と関わる森づくり体験の1日をご紹介します。

 

■部署もバラバラな26名が千葉へ

新宿から千葉へと向かうバスの車内では、前回のツアーでも好評だったクイズ大会でウォーミングアップをしました。樹木が得意なmore trees スタッフの宮﨑と、木材が得意な遠藤から、それぞれ木に関するクイズを7問ずつ出題。最多の6問を正解された方には、運営チームから賞品が贈呈されました。普段はあまり業務上の接点がない参加者同士、楽しいアイスブレイクになったようです。

 

■地元育ちの苗木を山に植える

午前中の舞台は、大多喜町筒森にある0.58haの伐採跡地です。

more treesは闇雲に木を植えるのではなく、「地域の気候風土に適した樹種」を選び、その土地に自生する種の遺伝的多様性にまで配慮した「地域性苗木」を植えることを大切にしています。今回植えたのは、まさにその考えと共鳴する取り組みのなかで育てられた苗木でした。「千葉県由来の苗木育成プロジェクト」の一環で、株式会社千葉興業銀行様が特定非営利活動法人ちば里山センター様と協働で育てた苗木を、今回のツアーのために譲ってくだったのです。さらに当日は、千葉興業銀行様から社員2名が植樹にご参加くださいました。

▲ご提供いただいた地域性苗木。「千葉県由来の苗木育成プロジェクト」では、生物多様性の基礎となる「種の多様性」と「遺伝的多様性」の両方に配慮し、多くの樹種の種子を、複数の個体から集めるかたちで種子採取が行われています。さらに「遺伝的攪乱」を防ぐため、種子の採取地は千葉県内に限定。県内の自然共生サイトや里山から、地域の遺伝子をていねいに集めています。採取された種子はちば里山センター様で精選・調製ののち冷蔵保存され、一本一本、苗木へと育てられていきます。(千葉県由来の苗木育成プロジェクト | ちば里山センター より)

植樹にうつる前に、まずはmore trees 宮﨑から「多様性のある森づくり」の意義と、「地域性苗木」の重要性を説明しました。その後、現地パートナーの株式会社ハヤシ林業 代表・林峰雄さんに植え方のレクチャーをしていただきました。 浅草生まれのサーファーで、旅行で毎年のように勝浦を訪れていた林さんは、「サーフィンしながら好きな自然のなかで働きたい」とこの地に移住し、林業会社を立ち上げました。「日本にこんなに木がいっぱいあるのに、使われていないのはおかしい」と感じたことが、林業を選んだ原点だと言います。なかでも林さんが大切にされているのが、山と海のつながりです。「山が水をきれいにする。その水が川に流れて、豊かな海をつくってくれる。海がきれいなのは、山をちゃんと手入れしているから。それを後の世代にも伝えていかないといけない」。地元の若い仲間たちと勝浦の街を盛り上げる活動にも取り組まれており、今回のツアーでも現地での見学先選びから当日の進行まで幅広くご協力いただきました。

そしていよいよ植樹体験がスタートです。人生で初めて木を植える方もいれば、昨年に続いて2度目の方もいるなか、手分けして作業を進めていきます。

植えたのは、ウバメガシ・ヤブツバキ・コナラ・クヌギの計96本の広葉樹です。黙々と作業をしていたみなさんも、植樹が終わってカメラを向けるとにっこり。

地域の方々と一緒に、地域で育った苗木を、地域の山に植えた植樹体験。96本の苗木を無事に植えることができました。

■地域の歴史や文化に触れる

午後はお隣の勝浦市へ移動しました。まず訪れたのは、リアス式海岸がつづく景勝地・鵜原理想郷のふもとにある勝浦塩製作研究所。

▲鵜原理想郷への入口

前掛けをして出迎えてくださったのは、代表の田井智之さんです。勝浦の海水の旨みに惚れこみ、この地に移住して天然塩を製造しています。山の断層からミネラルが豊富に流れ込むこの場所で、自然の恵みをなにか形にしたいと塩づくりを学びはじめました。

原料となる海水は、満月と新月の満潮時にのみ施設脇の海から汲み上げるという徹底ぶり。その海水を平窯で1日12時間煮詰める作業を5日間繰り返す昔ながらの製法にこだわり、結晶化後には天日干しをして仕上げています。重力の影響で海水のミネラル分が変化するため、味がまったく違う塩ができあがるそう。

午前中は山で植樹をし、午後は海の恵みを味わい、海と森のつながりを体感することができました。

続いて訪れたのは遠見岬神社です。

林さんの計らいで遠見岬神社禰宜の小林悠紀さんにお話を伺ったあと、みんなで石段を上ります。お子さんと一緒に元気に駆け上がっていく方もいました。上までいくと勝浦の漁師町を一望できる絶景が待っています。

ちなみにこの神社、毎年全国からたくさんの人が訪れる有名なイベントがあります。それがこちら。

▲遠見岬神社 Facebookより

60段の石段を大きなひな壇に見立てた「かつうらビッグひな祭り」です。全国勝浦ネットワークのご縁で、徳島県勝浦町からおよそ7,000体のひな人形を里子として譲り受けたのを機に2001年から開催。遠見岬神社の石段に並べられる約1800体のひな人形は、朝飾り付けをし夜には全てをしまい込むという作業を毎日行い、ハヤシ林業の林さんも毎年作業に参加されているそうです。圧巻のおひなさま、ぜひこの目で見てみたいものですね。

 

■地元のブルワリーで美味しい乾杯

ツアーの締めくくりは、勝浦市内のクラフトビール醸造所 THRILLER BEACH BREWERY(スリラービーチブルワリー)へ。併設のビアバーで工場出来立ての地ビールを味わいます。たっぷり動いたあとの乾杯にみなさんの笑顔が弾けます。

当初は20分ほどの滞在予定でしたが、だいぶ喉が渇いていたのかみなさん地ビールを爆買いされ(笑い)、結局1時間近く滞在しました。心ゆくまで勝浦を堪能して、東京へ戻ります。

 

■参加者の声

帰りのバスでは、1日の疲れからかみなさん爆睡。最後に1日の感想を交わし合うと、

「遺伝的多様性の重要性について、はじめてきちんと理解できた」

森づくりに携わる地域や現地パートナーのみなさんにとっても励みになる言葉です。さらに後日のアンケートでも、ありがたいご感想が届きました。

「普段の業務では関わる機会が少ない方々と交流でき、協力しながら一つの目標を達成する楽しさを実感できた」

「林業というのは50年単位で木を植えて育てて、それをまた資材として活用するサイクルの仕事なので、非常に時間軸が長い、ゆっくり時間が流れていることを感じました。1つの時間軸だけで物事を判断する生き方が、身に染みてしまっている自分を、見つめ直す機会になりました」

「植樹体験で苗を植えるだけでなく、今回は、自然の循環についてクイズなども交えてレクチャーいただけたことがとても印象に残りました。より環境を守り育てていくことに対し興味が湧きました」

「植樹を通して、勝浦の自然や、海との関連、またそこから派生する地域のつながりなど、すべてがつながっていることを深く知ることができました。自然を守るということが、地域経済まで含めて私たちの生活に密接に関係していることを、改めて気づくことができました」

今回のツアーがまたひとつ都市と森の接点を増やし、人も森も生き生きと暮らしていける未来につながれば嬉しいです。


more treesは、地域の気候風土に適した樹種を選び植林・育林をする「多様性のある森づくり」、法人参加型の森づくり「企業の森」、クリエイターや地域の職人と協働して木製プロダクトの企画・開発・販売や木質空間づくりを手がける「ものづくり/空間プロデュース」など、「都市と森をつなぐ」をキーワードにした取り組みを行っています。森林保全活動へのご参加、ご支援、ご質問などお気軽にお問い合わせください。

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