ストーリー

弱った苗木、どうする?三重県大台町で株式会社シモジマ様の植樹ツアーを行いました

結果だけをはやく知りたい。映画も読書もあらすじで済ませたくなるような先を急ぐ社会のなかで、小さな変化に立ち止まる時間は減っているのかもしれません。たとえば、目の前の一本の苗木が弱っていたらその不調に気づけるでしょうか。

新緑が色濃くなる5月、株式会社シモジマ様12名が三重県大台町を訪れました。森林散策、植樹体験、鉢上げ、箸づくりと盛りだくさんの2日間から、印象に残った10のシーンをお届けします。

1.森の達人と森あるき

2023年から大台町で「シモジマの森」の森づくりを続けるシモジマ様は年2回のツアーで社員全員の大台町訪問を目指しています。5度目となる今回は12名の社員が参加。初日は大台町の森の達人こと宮川森林組合の森 正裕さんの案内で森林散策に出かけました。途中で急斜面が現れる本格コースでしたが、シモジマのみなさんも元気よく登っていきます。

2.10年後の森の姿を想像

登りきった先には、10年ほど前から毎年植林を続ける他社の植林地がありました。大きく成長し枝葉を広げた木々に、「シモジマの森」のこれからを想像するひとときでした。

3.いざ、多様性のある植樹!

恒例の植樹体験では1パッチ92本を植えていきました。今回植えたのは、この土地の気候風土にあうように選ばれた27種です。針葉樹だけでなく広葉樹も数多く植えて「多様性のある森づくり」を行っています。

アオダモ、アワブキ、イタヤカエデ、イヌガヤ、イロハモミジ、ウラジロガシ、ウリハダカエデ、エゴノキ、エンコウカエデ、オオカメノキ、カイナンサラサドウダン、カクレミノ、カツラ、クロガネモチ、ケヤキ、コバノガマズミ、サワグルミ、シラキ、トチノキ、マユミ、ミズキ、ムラサキシキブ、モチツツジ、モミ、ヤブツバキ、ヤマザクラ、リョウブ

 

4.皆勤賞へのサプライズ植樹

シモジマで森づくりの担当を務め過去5回のツアーにすべて参加してきた山崎さんに、宮川森林組合の森さんが「とっておき」の植樹場所をプレゼントしました。それは大きな岩陰です。シモジマの森がある薗地区は大きな岩が多く、植樹をするには”邪魔”と思ってしまいがちですが、森の達人の目にかかれば岩もお宝スポットに。「ここはシモジマの森の看板がある場所から一番目の付く場所だから、きれいな花の咲く木を植えるとこのパッチの象徴となるんです」。山崎さんは「カイナンサラサドウダン」を嬉しそうに植えていました。

 

5.沢にアマゴを

アマゴの放流体験もしました。植林地の中央に沢があり、途中途中にアマゴの生息地に適したところ(適度な流れがあり、隠れる場所もある小さな淵)があります。稚魚を川に放流しながら、森と川のつながりを感じました。

6.約130種が並ぶ天野会長の苗畑

2日目に訪ねたのは、地域住民が中心となって立ち上げた大台町苗木生産協議会の会長を務める天野忠一さんの自宅敷地内にある苗畑です。敷地には約130種もの苗木が並んでいます。

針葉樹に比べ全国的に生産体制の手薄な広葉樹の育苗に20年近く前から挑んできた大台町苗木生産協議会は、土地に自生する木から種を採って育てる「地域性苗木」の生産にも早くから力を注いできました。少し前までは行き先を待っている自宅待機の苗木が多い印象でしたが、「シモジマの森」の取り組みをはじめ、さまざまなところから苗木の引き合いが増えているとのこと。苗木の行き先が見つかっているのは大変喜ばしいことです。

7.すこし大きくなった苗木のお引越し

苗木生産協議会には春に芽生えたばかりの小さな苗木たちが発芽トレーにぎゅうぎゅうに詰まっています。これらをひとつひとつポットに移し替える「鉢上げ」の作業も、シモジマのみなさんが手分けをして取り組みました。

8.去年の苗木にも会えました

たくさんの苗木たちに混ざって、昨年のシモジマさまのツアーで鉢上げした苗木が順調に育っていました。

9.9つの樹種から選ぶ、自分の箸

ツアーの締めくくりは、国産材を使った箸づくりです。スギ、ヒノキ、ホオノキ、ネムノキ、タムシバ、タブノキ、アラカシ、ヤマザクラ、ヒメシャラの9樹種から好きな木を選び、治具(ジグ)と鉋を使って本格的に削り出します。見た目以上に難しい作業ですが、器用な参加者が多く「本当に初めてですか!?」と驚くほど見事な仕上がりのお箸も。時間がおして1膳つくれるかという状況のなか、2膳を仕上げた方もちらほらいました。

 

10. 弱った苗木をあきらめない

シモジマさまは育苗キット「JUBAKO」の導入第一号企業として、シモジマ浅草橋本店内ショールーム(東京都台東区)で苗木を育てています。大台町で採った種が芽を出してすくすくと苗木が育つなか、背丈は順調に伸びても葉の元気がない子がいることに気がつき、弱った苗木を大台町へ持ち帰りました。天野会長に見てもらうと、「そこまでひどい状態ではないのでどうにかなると思う」との言葉。山崎さんはほっと胸をなで下ろし、大台町のみなさんに今後の育苗を託すことになりました。

自然が相手の育苗は、いつも人間の思いどおりにいくとは限りません。それでも、葉のわずかな異変をいち早く見つけたのは、日々その生長を見つめてきたシモジマのみなさんでした。シモジマのみなさんの観察する目と、長年苗木づくりを続けてきた大台町のみなさんの手、そして苗木の健やかな生長を願う心をかさねて、弱った苗木が森へ還る日まで見守っていきます。


more treesは法人参加型の森づくりプログラム「企業の森」を通じて、各地で活動企業様とともに多様性のある森を育てています。植樹ツアーや育苗ワークショップ、社員参加型のプログラム設計など、企業の森づくりへの参加に関するご相談を承っています。

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