ストーリー

【森づくりパートナーの声 ♯08】東京ステーションホテル  副総支配人兼マーケティング部長  八木千登世さん

more treesの森づくりは、立場の異なるたくさんの人々の手で成り立っています。木を植え育てる人、木を活かしてものづくりをする人、地域に暮らす人、都市から森を支える人。みなさんとの協働があってこそ、“都市と森をつなぐ”森づくりは続いていきます。連載「森づくりパートナーの声」では、more trees と活動をご一緒いただいているパートナーの方々に、森づくりへの思いや今後の期待や挑戦についてお話を伺います。

  

──普段はどのようなお仕事をされていますか? 

東京ステーションホテルのマーケティング部で、セールス・ウエディング部門と、広報・制作・デジタルのプロフェッショナルを抱えるマーケティングコミュニケーションというセクションの統括をしています。 

  

――御社がmore treesに関心を寄せてくださったきっかけを教えてください。 

開業100周年の記念になにか意義のあることをしたいと考えていたところ、more treesさんをご紹介いただき、クリスマスチャリティー木製オーナメントの販売・寄付が始まりました。2025年で11年目になります。 

  

――お客様の反応はいかがですか。 

毎年心待ちにしてくださるお客様が増えまして、当初よりオーナメントの制作数も増えました。今では、チャリティーがはじまって1週間から10日ほどでオーナメントがすべてはけてしまう状況です。 

  

――オーナメントのデザインは御社のご担当者が手がけてくださっていますよね。なにか心がけていることはありますか? 

できるだけ多くの方が手に取りたくなるデザインを目指しています。キャラクターに寄りすぎず、ホテルらしさやクリスマスらしさを感じられるようデザインモチーフを検討しています。 

  

――この11年で変えたことはありますか? 

チャリティーの発信の仕方を変えました。以前はチャリティーオーナメントありきで、オーナメントの可愛らしさや魅力を謳って販売し、収益をすべてmore treesに寄付しますという伝え方だったんです。ここ2~3年は、森林保全の大切さを前面に打ち出して、ご寄付への返礼品としてオーナメントをお渡ししますという発信に変えてきました。それぐらい我々も森林保全の意義を強く感じています。 

  

――11年も続けてくださっていることが本当にありがたいです。なにが継続の動機づけになっているのでしょうか? 

ホテルのゲストの方々にも「自分も森づくりの活動に携わっている、参加している」と感じていただきたいという思いがあります。また、more treesさんは、森に木を植えるだけでなく伐った木材を使うことも大切にされていますよね。木製オーナメントの制作によって循環の仕組みにも貢献できる。それも、私たちが11年続けている大きな理由です。 

  

──2025年のハイライトを挙げるとしたら? 

ホテルは2025年、開業110周年を迎えました。私たちはこのホテルを「リビングヘリテージ」──使い続ける文化財と呼んでいます。存在そのものがサステナブルである以上、私たちがホテル業界でも、さらに日本の観光業界でもサステナブルな在り方を牽引していかなければ、と思いを新たにしたことです。ホテルのミッションとして一番目にソーシャルレスポンシビリティを掲げ、東京を代表するホテルとして環境保護・地域貢献に取り組むと明言もしています。そのようなホテルがこの先100年、200年をどう歩むのかを考えたとき、森を育てていく営みがホテルの在り方と非常に親和性があるのではないかと感じ、2026年からは「企業の森」づくりに挑戦することを決めました。 

  

――丸の内という、東京のど真ん中にあるホテルが森づくりに取り組むというのは、都市でなにかやりたいと思っている人々や企業にとって大きな勇気づけになりますね。 

森づくりをしたいという気持ちになったのも、チャリティオーナメントを11年続けてきたからこそなんです。その間にmore treesさんから、森のことをたくさん学ばせていただきました。たとえば日本は国土の約7割が森林であるにも関わらず、そのうちの4~5割が人工林で放置されがちだとか、木材自給率は3~4割ほどしかないなど切実なお話を初めて聞きました。一方、世間では森の深刻な状況はまだまだ知られておらず、生態系の保全の大切さとともにもっと知らせるべきだと思ったんです。それならまずは我々スタッフが森づくりを通じて森のことをもっと理解しようと。そしてお客様にも伝えていくことで、もっと自分事にしたいですね。 

  

――地域を指定して森づくりに取り組む「企業の森」プログラムで、御社は岩手県大船渡市での森づくりをご検討いただいていますね。なぜ大船渡を選ばれたのですか? 

311の津波、2025年の大規模山火事と大きな災害が続いた地域に直接関われることに意義を感じています。さらに東京駅と東北には実は深い縁がありまして。2011年の震災当時、東京駅の駅舎は再開業に向けた保存復原工事中でした。1914年(大正3年)の創業時に駅舎の屋根材(スレート)には宮城県でしか採れない石が使われていて、復原工事でも同じ石を使うことになりました。現地で用意をしていただき、あとは東京に発送するだけという段階で地震が起きて津波で流されてしまったんです。でもそこで諦めずに流されたものを集められるだけ集めて、汚れをとって、それがいま駅舎で使われています。ですから東北とこの東京ステーションホテルをつなぐ物語というのは、もう111年前から始まっていたんですね。私たちが大船渡での森づくりに取り組むことでさらに深まる東北とのご縁を、未来にもつなげていきたいと思います。 

  

──そんなご縁があったのですね。企業の森づくりをご一緒できることがますます楽しみになりました。他にこれから挑戦したいことはありますか? 

ホテルのゲストのみなさまにも森づくりへ参加いただくにはどうしたらいいのかは常に考えています。「JUBAKO」で苗木を育てるのか、現地へ赴くことなのか、はたまた別のことなのか。more trees さんのお知恵を借りながらゲストが森づくりに興味を持ち、参加できるプログラムを模索していきたいです。 

インタビュー:2026年3月

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