地域横断で森づくり。奈良県野迫川村の植栽設計に、大台町と天川村の森林組合もご参加いただきました。
4月21日~22日、奈良県野迫川村の植林予定地で植栽設計を行いました。今回は三重県大台町の宮川森林組合が講師役を買って出てくださり、野迫川村のみなさんのほか、天川村の森林組合も参加。地域横断の研修の場にもなった2日間の様子をダイジェストでお届けします。
野迫川村での課題に、宮川森林組合の技術を
奈良県南西部、紀伊山地の北斜面に位置する野迫川村。霊場 高野山の奥に位置し、総面積の97%を森林が占めています。急峻な山々に囲まれた村には傾斜の急な地形が多く、more treesが野迫川村と協働で取り組もうとしている植林候補地も急傾斜地です。豊かな森林資源を維持しながらメンテナンスの作業をいかに軽減できるか――この課題を乗り越えるために村が検討していたのが「自然配植技術」による植林でした。
「自然配植技術」という言葉はmore treesの記事のなかにも度々登場しますが、その技術をどこよりも現場に取り入れ、知見を深めているのが三重県大台町の森で施業を担っていただいている宮川森林組合です。2007年から自然配植技術を用いた広葉樹施業の確立を目指して活動している同組合から、”森の達人”としておなじみの森正裕さんらが講師として野迫川村まで出張してくださいました。
また、野迫川村のご近所ともいえる天川村でも急傾斜地への植林案件が浮上したタイミングだったため、せっかくの機会ということで天川村森林組合へもお声がけ。3地域のみなさんの合同研修のようなかたちで、植栽設計を行うことになりました。
1日目:周辺の植生調査
まずは周辺にどんな樹木が自生しているのかを把握して、実際に植栽する樹種の参考にします。現地を歩きながら調査すると、このあたりにはヤマハンノキが群生していました。自生する樹種の大半がヤマハンノキで、少しシデ類が混ざっていることが分かりました。
▲大半がヤマハンノキ
2日目:植林予定地の植栽設計
宮川森林組合主導で、実際に1パッチ分の植栽設計を行いました。宮川森林組合の森さん、杉浦さんからは、かなり土砂流出の激しい土地だという指摘があり、土砂流出を食い止めることに主眼を置くことに。数年前に野迫川村が独自に植えたコナラも一部更新していたため、それらとの共存も目指し、コナラの生育が良くない場所を中心に植林していく方針です。
▲森林立地評価のために地拵えをしているところ。どんな樹種をどこに植えるかを決めるためには、土地の条件を把握しておくことも欠かせない作業です。
▲地拵えが終わり、視界が開けました。現場の様子を確認しながら1パッチ分の植栽計画を検討しています。
▲実際に作成した植栽計画
宮川森林組合の森さんは昨年6月も岩手県住田町へ技術指導に出張してくださいましたが、今回も地域同士のつながりで森づくりが展開していく貴重な場となりました。
宮川森林組合のみなさま、そしてご参加いただいた野迫川村・天川村のみなさま、どうもありがとうございました。