more treesの活動地域は25カ所となりました。そのなかに海外も含まれていることをご存じでしょうか。今回はインドネシアで行っている「オランウータンの森 再生プロジェクト」についてご紹介します。
オランウータンの森?
アジア最大の類人猿、オランウータン。その名はインドネシア語で「森の人」を意味し、カリマンタン島とスマトラ島にのみ生息する絶滅危惧種です。果実を食べ、糞として種子を散布することで、多様性に富む熱帯雨林の生態系を支えるとても重要な存在でもあります。
しかし近年、人間の経済活動による森林破壊や、ペット目的の密猟により数が減り、カリマンタン島では過去60年で半減、スマトラ島では75年で8割も減少しました。オランウータンの保護と生息地の保全のため、インドネシア政府や国際NGO、地域団体が活動しています。
more treesの現地パートナーであるBOS財団(Borneo Orangutan Survival Foundation)もそうした団体のひとつです。約1,800ヘクタールあるオランウータンのリハビリセンターを運営し、ペット目的で誘拐され母親と離ればなれになってしまった幼いオランウータンや森林火災により森から焼け出されてしまったオランウータンを保護し、森に還るためのトレーニングを行っています。ところが2015年の大規模森林火災で東カリマンタン島・サンボジャ地区(Samboja lestari)のリハビリセンターのうち266ヘクタールが焼失しました。more treesはBOS財団と協働で失われた森を取り戻すために2016年から「オランウータンの森 再生プロジェクト」をスタートし、森林火災跡地の再生と森林火災に備えるインフラ整備に取り組んできました。
2024年度の活動
2024年度は、サンボジャ地区の2ヘクタールに800本を植樹しました。ブッシュ(灌木)を列状に草刈りし一定の間隔(今回は5m)で苗木を植えていく「ラインプランティング」という手法を採用しています。
植栽には4つの樹種を選びました。東南アジアの熱帯雨林の高木層を形成するフタバガキ科など、いずれも現地の在来種です。
- Smithiana(Shorea smithiana)
- Balangeran(Shorea balangeran)
- Leprosula(Shorea leprosula)
- Gaharu(Aquilaria malaccensis)
- 作業前の植林エリア
- 木々のなかへ分け入ります
- 苗木を植える場所に目印を立て、穴を掘ります
- 植栽
本プロジェクトでは、オーガニック・ナチュラルコスメメーカーのカラーズ株式会社様にご支援をいただいています。ご支援を受け過去に植林を行った植林地4.5ヘクタールについても除草、肥料の投与、苗の植替えなどのメンテナンスを実施しました。メンテナンスとして、列状に植えた苗木に十分に日光があたるよう、周りの草を刈り、枯死した苗木を除去し、苗木の植え替えと施肥を行いました。
- 2020年度に植えた木
- 2022年度に植えた木
今後もオランウータンが安心して暮らせる森の再生を進めてまいります。