広葉樹の森を五感で感じる。東洋大学1年生の森林体験プログラムin岩手県住田町
9月9日、more treesが「多様性のある森づくり」に取り組む岩手県住田町を東洋大学の1年生が訪れました。学生たちは苗畑、天然林、植林地の3カ所を巡り、森林保全の現場を肌で体験。このプログラムは東洋大学の国際社会体験演習の一環として同大学と株式会社メンバーズが企画し、more treesは当日の運営をサポートしました。
■地域に根ざした苗木づくりを知る
はじめに学生たちは町内の「イコウェルすみた」を訪れました。more treesが地域と協働で進める育苗プロジェクト「なえうぇる」の現場を、プロジェクトをリードする一般社団法人邑サポート 奈良さんの案内で見学。学生たちは「地域で採取した種から苗を育て、ふたたび山へ還す」という循環や、地域住民を巻き込んだ仕掛けについて話を聞きました。また、東日本大震災時に被災者の暮らしを支えた木造仮設住宅の跡地が現在は苗畑として活用されていることも学び、人と森の深い関わりのなかで編まれてきた地域の歴史に触れました。
■五感で感じる天然林
午後はいよいよ山の現場を訪れるため「メンバーズの森」がある六郎峠へ。マイクロバスを降りてから作業道を2キロほど歩くと植林地が見えてきました。ただ今回はすぐに植林体験を行うのではなく、そのまま山道をかき分けて天然林へ向かいます。
足元がぐらつくような山道を、時折手をつきながら歩く学生たち。途中すこし弱音を吐く声も聞こえてきましたが無事に全員が天然林へ到着しました。呼吸を整えたあと、五感いっぱいに森を感じる時間を持ちました。都会の喧騒から離れ、針葉樹の多い人工林とも異なる広葉樹の森ならではの匂いや音、明るさを全身で感じとります。その後、日本や世界の森林が抱える課題について共有し、経済合理性だけを求めない広葉樹の森づくりの意義や可能性について意見を交わしました。
■未来をおもい苗木を植える
天然林から植林地へ戻り、学生たちは一人一本ずつ苗木を植えました。その中には「なえうぇる」で育てたコナラとクリが3本ずつ含まれていました。2年ほどかけて種から育てた苗木がこれから何十年もかけて大きく育っていく。都会では感じにくくなってしまった“森の時間”に触れる植林体験となりました。
■学生の声から見える学び
参加した学生からは次のような感想が寄せられました。
「普段こんな山奥に来ないので、目に見えるものすべてが新鮮でした」
「山林の課題を調べると、手入れがされていない杉林の話がよく出てくるが、伐採後の森の課題には触れたことがなかったので目の当たりにして衝撃を受けました」
「天然林は人の手が一切加わらずに森が形成されていると思うと、生命の力強さを感じました」
森づくりの担い手が全国的に減っているなか、こうして若い世代が森づくりの現場に足を運んでくれることは地域にとってもmore treesにとっても大きな希望です。これからも多くの方に森と触れ合う機会を届け、美しい森を未来へつないでいきたいと思います。
more treesは、地域固有の風土や技術を活かしながら土地に適した樹種を選び植林・育林をする「多様性のある森づくり」、法人参加型の森づくり「企業の森」、クリエイターや地域の職人とコラボし木製プロダクトの企画・開発・販売などを手がける「ものづくり/空間プロデュース」など「都市と森をつなぐ」をキーワードにした取り組みを行っています。
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