“一咫半”ってなんの単位?三重県大台町でシモジマ様の現地ツアー10ショット

「一咫半」という言葉をご存じでしょうか。三重県大台町で行われたシモジマ様の現地ツアーで、大台町内の「シモジマの森」の施業を担っていただいている宮川森林組合の森さんが口にした言葉です。今回はツアーの様子を10ショットでご紹介します。一咫半もどこかで登場するのでどうぞお楽しみに!
【1】ここは広葉樹苗木界のシリコンバレー、あるいはブルックリン。地域住民が中心となって立ち上げた大台町苗木生産協議会の会長を務める天野さんの自宅裏にある苗畑です。針葉樹と比べて広葉樹の苗木生産者は圧倒的に少ないなか、20年近く前から広葉樹の苗木生産に挑んできたこと自体が時代を切り開く姿勢のあらわれ。いまでは広葉樹を中心とした130種類以上の苗木づくりに取り組んでいます。さらに、地域に自生する樹木から種を採って育てる「地域性苗木」を生産している点も先駆的です。
【2】今年5月の現地ツアーでシモジマのみなさんが鉢上げした苗木(赤いテープが目印)も育っていました。
【3】続いては「シモジマの森」での記念植樹です。宮川森林組合の“森の達人の森さん”が苗木の植え方をデモンストレーション。将来どのように木が成長していくのか、周辺の木との関係性を考えながら植えていく方法をシモジマのみなさんに伝授しています。
【4】自然配植技術をつかった植栽のマップです。今回は26種、計90本の植樹を行いました。
【5】宮川森林組合の森さん(左)とシモジマの山崎さん(右)。山崎さんはシモジマの森づくりのリーダーとして毎回現地を訪れているだけあり、いまではほかのスタッフに植樹の方法を教えられるほどに。森さんの一番弟子のような雰囲気すら感じます。大台町のパイオニアスピリットを受け継いだかのように、シモジマさんはこのツアーの後、東京・浅草橋のショールームに育苗キット「JUBAKO」第一号を導入。大台町で採った広葉樹の種をポットに蒔き、苗木づくりに挑戦しています。
【6】山崎さんが植えたのはカイナンサラサドウダンでした。「植えた苗木が育って森になるまでには100年以上かかる」「私たちは森になった姿を見ることはできない」という森さんのお話に、初参加のみなさんは大変驚いていました。
【7】こちらは宮川森林組合の加工場です。好きな樹種の広葉樹の木材を選び、鉋を使った「箸づくり」に挑戦します。
【8】ここで登場しました、一咫半!森さんの手元にご注目ください。「ひとあたはん」と読み仮名がふってあります。「一咫」(ひとあた)は、親指と人差し指を直角に開いた長さのこと。その1.5倍が「一咫半」(ひとあたはん)で、その人の手に合うお箸の長さになるそうです。

【9】「鉋を使ったのは初めて」という方も多く、苦戦する場面もちらほら。特にヤマザクラは他の樹種に比べて硬いので苦労しながらも、自分用や奥さんに、息子に、彼女にとそれぞれ贈りたい人への思いを込めながら一生懸命に削っていくシモジマのみなさんでした。
【10】最後は蜜蝋オイルを塗ってフィニッシュ。メンテナンスにはオリーブオイルなどのオーガニックオイルでも代用ができると教わりました。嬉しいことに、森さん手作りのヒメシャラの箸置きもお土産にいただきました。
「一咫半」は、均一な尺度では捉えきれない世界の多様な在り方を思い出させてくれる言葉でした。森もまた、ひとつとして同じ姿はなく、最適な森づくりの方法もひとつではありません。more trees の森づくりは、その土地にふさわしい“一咫半”を地域やパートナーのみなさまと共に探しながら進めていることに思いを馳せるツアーとなりました。
more treesは、地域固有の風土や技術を活かしながら土地に適した樹種を選び植林・育林をする「多様性のある森づくり」、法人参加型の森づくり「企業の森」、クリエイターや地域の職人とコラボし木製プロダクトの企画・開発・販売などを手がける「ものづくり/空間プロデュース」など「都市と森をつなぐ」をキーワードにした取り組みを行っています。
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