ストーリー

16年間の集大成。桑沢デザイン研究所の学生さんと「森林の再生とマテリアルとしての可能性」を考えた最後の2日間。

日本初のデザイン専門学校・桑沢デザイン研究所のスペースデザイン専攻の学生さんを対象に、1月13日・20日の2日間、more trees事務局長の水谷伸吉とmore trees designディレクターの青木昭夫がゲスト講師として講義を行いました。テーマは「森林の再生とマテリアルとしての可能性」。16年にわたって続いてきたこの授業も、桑沢デザイン研究所の非常勤講師の退官に伴い今年が最後の開催となりました。

森や木について知り、可能性を考える

Day1は世界と日本の森林事情や木材利用についての講義を水谷が行いました。Day2では青木によるプロダクトデザインの実践的な講義のあと、「ギフトをテーマに国産材を使用した商品」を考えるワークショップを行いました。素材として指定されたスギやヒノキがどんな特徴を持つのかをおさえつつ、贈る相手を想像しながら商品アイディアを練っていきました。


個性豊かなアイデアが続々

ワークショップでは3つのグループに分かれ、合計9つのアイテムを発表しました。その中からいくつかをご紹介します。

たとえば「香筆」は、削りかすを燃やして木の香りを楽しむえんぴつ。スギやヒノキならではの芳香を、書くだけでなく焚くことでも味わうという発想です。「Mori-Block」はアロマオイル用のくぼみとスマートフォンスタンド機能を備えた木のブロックで、デスクまわりに自然を取り入れるプロダクト。「もくもく絵本」はページのあちこちに木材が使われ、子どもが手で触れて楽しめる絵本です。祖父母への贈りものを想定したスギのステッカー「きのペた」は、1mmから1cmまで厚さをカスタマイズでき、静電気除去の機能も備えています。

全体的に木の香りや手触りといった五感に訴えるアイデアが多く見られました。今年は留学生も多く参加し、国際色豊かなクラスとなりました。多様なバックグラウンドを持つメンバーが集まったことで、ワークショップにも新たな視点や刺激が生まれていたように思います。


全員が「森林資源を活かしたい」

授業後に実施したアンケートでは、「クリエイターとして、デザイナーとして、森林資源を活かしていきたいと思いますか?」という質問に対し、回答者全員が「はい」と答えました。16年前の初期のころには「いいえ」や「わからない」という回答も見られましたが、森林や木材への意識の高まりを感じる結果となりました。

自由記述欄には、「木についてただ知識として知るだけでなく、さまざまなプロジェクトを知れたのがよかった」「森や木だけでなく、素材の香りや手触りのよさを改めて実感した」「ものをつくる上で森や木のことを考え、自然のことをちゃんと理解する時間があることは大切だと思う」といった声が寄せられました。

また、「資源を無駄にはしたくないと考えており、木の魅力を世に出していきたい」「持続可能な社会を目指すために私たちが貢献できることがあると思う」「環境にやさしく、長く使える素材だからこそ活かしたい」「自然環境に関心を持ち、地球に持続可能な視点を役立てることはとても重要」など、デザイナーとしての使命感が感じられる回答も目立ちました。


16年間の感謝を込めて

2010年から始まったこの授業は、桑沢デザイン研究所の卒業生であり非常勤講師の温野まきさんのご尽力により実現し、16年間にわたって未来のデザイナーたちに森と木の可能性を伝え続けてきました。温野さんの退官に伴い今年で最後となりますが、この授業を通じて芽生えた種は、これからも学生さんたちの中で育ち続けていくことでしょう。16年間、ありがとうございました。


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