現地に立って森林火災が「自分事」に。岩手県大船渡市で東京ステーションホテル様の現地視察を行いました

「森林火災を身近に感じ、自分ができることをしようと思いました。」
2026年10月2日、岩手県大船渡市綾里地区の「東京ステーションホテルの森」を訪れた参加者のひとりが、視察後のアンケートに寄せた言葉です。東京ステーションホテル様にとって2回目となる今回の現地視察は、総支配人を含め各部署から選ばれた14名が参加。育苗プロジェクト「なえうぇる」の見学、山林火災の跡地での補植、そして種採りと、森づくりの流れを一日で体験しました。現地に立ち、見て、触れて、聴いたことで、遠い出来事だった森林火災が「自分事」になっていった一日の様子をご紹介します。
苗木が育つ場所、「なえうぇる」へ
集合場所のJR水沢江刺駅で車に乗り込み、最初に向かったのは住田町の「イコウェルすみた」です。東日本大震災後に建てられた木造仮設住宅の跡地で、いまは地域内外の人が集う交流拠点になっています。この場所で進められているのが、住田町の育苗プロジェクト「なえうぇる」。立ち上げ当初からプロジェクトにご協力いただいている一般社団法人邑サポートの奈良朋彦さんにご案内いただきました。


▲苗木について説明いただいた邑サポート奈良朋彦さん(一番左)
この日植える苗木は、邑サポートをはじめ住田町の方々や地元の学生のみなさんが育ててくれたもの。一つひとつの苗木に地域の方々の思いが込められ、大切に育てられたものだとわかると、ただ植えるだけではなく、この森で長く育ってほしいと願う参加者のみなさんの気持ちも重なります。

参加者のみなさんとともに、苗木たちも移動の車に乗り込み、いざ植林地へと向かいます。
山林火災の跡地で補植を体験
住田町から大船渡市に入り、「東京ステーションホテルの森」がある綾里地区へ。2026年の春より植林を開始したエリアで、植林木の生育が思わしくない場所に新しい苗木を植える「補植(ほしょく)」の作業を体験していただきました。
綾里地区は、2025年2月に発生した大規模な山林火災で被災した地域です。植樹に先立ち、渕上清大船渡市長も参加して開会セレモニーが行われ、森林の再生は長い時間がかかること、今回をきっかけにこれからも現地に足を運んでほしいという思いが語られました。

▲開会セレモニーでご挨拶いただいた渕上清大船渡市長(左から2人目)
植林地の施業を担っていただいている青葉組株式会社のみなさんに苗木の植え方を教わり、いよいよ植樹開始です。足場が悪く、立っているのもやっとの急斜面でしたが、鍬で土を掘り、苗木を据え、しっかりと土をかぶせていきます。この日植えたのは、クリ15本、ヤマモミジ15本、イヌシデ25本の合計55本。大切に育てられた苗木を、「無事に根づいてほしい」と願いながら、一本ずつ丁寧に植えていきました。1時間ほどの植樹体験でしたが、「時間が足りない!」という声があがるほど、みなさん夢中で作業に取り組んでいました。

森で待っていたサプライズゲスト
実はこの日、ひそかに用意していたサプライズがありました。現地の森づくりをサポートいただいている岩手開発産業株式会社 三陸ツアーズの志田繕隆代表取締役社長は、以前別の会社で働いていた頃、東京ステーションホテルの藤崎斉総支配人と同僚だったとのこと。そこで、藤崎総支配人には内緒で、当日のスペシャルゲストとして志田さんにご登場いただいたのです。懐かしい人物の登場に、総支配人は驚きの表情。その場は再会の喜びに包まれました。

▲東京ステーションホテルの藤崎斉総支配人(左)と岩手開発産業株式会社 三陸ツアーズの志田繕隆代表取締役社長(右)
さらに当日の植樹体験には、大船渡市議会議員の佐藤優子さんも駆けつけてくださいました。佐藤さんは、以前から山林火災の現状を発信されている方で、more treesが3月に開催した交流会「more talks!×大船渡」にもゲストとしてご登壇いただきました。今回は東京ステーションホテルのみなさんとともに植林地に立ち、ご自身の手で苗木を植えられました。
▲植樹体験にご参加いただいた大船渡市議会議員の佐藤優子さん(左から2人目)
種採りの現場で、森づくりの「はじまり」にふれる
午後は、綾里川ダム周辺へ移動し、別部隊として種採りを行っていたmore treesスタッフの宮﨑悠・内匠美紀と合流。参加者のみなさんにも種採りを体験いただきました。集まった種についての解説は、more treesのインスタグラムなどでもおなじみの「Hola!宮﨑」が担当。豊富な知識に基づく解説に、参加者のみなさんは興味津々。一つひとつの種をじっくり見つめながら、熱心に耳を傾けていました。

森で育った木が種を落とし、その種が苗木となって、また森へ戻っていく。参加者のみなさんが自らの手で植えた苗木も、もとをたどればこうした種の一粒から。森づくりの「はじまり」にふれる時間になりました。
参加者の声
視察後のアンケートには、こんな感想が寄せられました。
「実際に植樹するときもひとつひとつの苗木が地域の方々の思いが込められている大切な木なのだと思いながら、私自身も無事に育ってもらえるようにと思いを込めて植えることができました。」
「種採り→苗→植樹と一連の流れを実際に見ることができ、改めて森づくりの大変さを感じ、いつも管理してくださっている皆さまのご尽力には敬服いたします。」
「自らが現地で直接見て、触って、そして聴くことによって、この取り組みの目的や自然環境の厳しさなどを実感することになりました。あらためてチームが「自分事」とすることが出来たことにより、これから先も長くバトンを続けていく意義を強く意識できました。」
これからも、続けていく
ご参加いただいたみなさんの中には、ふだんの仕事であまり接点のない部署の方もおられたそうです。今回の現地視察は、スタッフ同士が交流できるいい機会だったと話してくださいました。今後は、現地で芽吹いた稚樹を苗木として持ち帰り、自宅で育てて再びふるさとの森へ植える、「苗木のホームステイ」に挑戦してみたいという声もあがりました。
来年度以降も東京ステーションホテルのみなさんとともに現地視察を続けていくなかで、これからも綾里の森の再生を見守り、育てていきます。

more treesは、地域の気候風土に適した樹種を選び植林・育林をする「多様性のある森づくり」、法人参加型の森づくり「企業の森」、クリエイターや地域の職人と協働して木製プロダクトの企画・開発・販売や木質空間づくりを手がける「ものづくり/空間プロデュース」など、「都市と森をつなぐ」をキーワードにした取り組みを行っています。森林保全活動へのご参加、ご支援、ご質問などお気軽にお問い合わせください。






