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なぜ苗木は地産地消が望ましいのか?

これまで長い間、林業はスギやヒノキ、マツなどの針葉樹が主流だったこともあり、戦後の植林といえば圧倒的に針葉樹が選択されてきました。

近年、広葉樹の植林も少しずつ注目されていますが、針葉樹に比べると需要が少ないことから、全国的に広葉樹の苗木は生産・供給体制が脆弱です。

実際、過去には植林地が確保できても、広葉樹の苗木の供給量が追い付かずに十分な面積を植栽することができなかったケースもありました。
また、不足した苗木は域外から購入することも各地で常態化しています。

ちなみに、針葉樹の苗木に関しては林業種苗法という法律により移動範囲の制限(配布区域の指定)があります。
なぜかというと、本来、天然の樹木集団は長期的な気候変動に対応してその分布域を変遷させながら生き残ってきたので、同一種であっても地理的に遺伝的な違いが生じていることが多いからです。

たとえばブナは、太平洋側と日本海側とで葉の大きさが異なります。
(一般的に太平洋側より日本海側、南より北の方がブナの葉は大型化します)
これは長い年月をかけて、積雪の有無や水分量などの環境条件の違いに適応した結果だと言われています。

こうした遺伝的な差異があることから、植林が盛んだった針葉樹については苗木の移動制限がありますが、広葉樹には法的な移動範囲の制限がなく、全国どこへでも苗木を流通させ植栽することができてしまいます。

ただ、地域での苗木生産が望ましいからといって、今すぐ地元産の苗木を用いた植林ができるわけではありません。種や挿し木から植栽できるサイズの苗木になるまでには2~3年を要します。

こうしたなか、地元コミュニティや学校を巻き込んだ苗木生産に取り組む事例も徐々に始まっています。

たとえばどんぐりなどの種を天然林や神社から拾い、それをポットで育てて生産するというプロセスを地域の子供たちと一緒に育てる取り組みや、地元企業と一緒に苗を育て、それを買い取るといった動きもあります。

奈良県天川村の苗畑(育苗施設)

「苗木の地産地消」が全国に普及していくことを願っています。
もちろんmore treesもそれを推進しています。

 

 

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