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多様性のある森づくりのパターン

多様性のある森づくりを目指すうえで、植林を伴うケースが多々あります。
しかし「植林」といっても、ただやみくもに木を植えればいいわけではありません。

植林にもいくつかのパターンがあり、さらには植える樹種、植栽密度(どのくらいの間隔で植えるか)も土地や条件、目標林形(目指すべき将来の森のイメージ)によって異なります。

私たちでは現在、主に3つの手法を取り入れています

①皆伐地への植栽
②人工林の強度間伐+樹下植栽
③人工林の強度間伐+天然更新

①皆伐地への植栽

 いわば最も分かりやすいパターンです。スギやヒノキなどを皆伐(収穫)して更地になった状態の土地などに、苗木を植えていきます。

②人工林の強度間伐+樹下植栽

 既存の人工林を活かしながら、混交林(針葉樹と広葉樹がミックスした森)を目指す手法です。人工林は定期的に間伐(過密になったスギやヒノキを適切な生育状況にするため伐採する作業のこと)を行いますが、この場合は強度間伐(通常の間伐よりも多く間引く作業)を実施します。
その後、強度間伐により空いた空間に、広葉樹を植栽します(樹下植栽)

③人工林の強度間伐+天然更新

 ②の手法と似ていますが、強度間伐した後に樹下植栽を行わず、天然更新(自然に落下した種子から樹木を育成させることで再生を図る方法)により混交林化を目指す手法です。周辺に広葉樹の種子を落とす母樹が存在するなどの条件が整っている場合はあえて植栽をせず、このように天然力を活用する場合があります。

一般的には、更地やはげ山に植林する①のパターンがイメージされやすいですが、前述のようにそうではない手法もあります。確かにビジュアル的には、何もない土地に苗木が植わり、それが育っていく様子はビフォー&アフターが比較しやすくとても分かりやすいです。しかし②③は地味かもしれませんが土地の環境を急変させず、緩やかに森林環境の転換を図っていくという意味では生態系に配慮した手法とも言えます。

ちなみに、植える本数で比較すると

①>②>③ となります(※③は植栽しないので0本)

しかし、決して本数の多寡で活動の良しあしが決まるわけではありません。

このように植林にもさまざまなパターンがあります。これらの中でどの手法を採用するのか、そしてどんな樹種をどのくらいの密度で植栽するのかは、専門家や地元の意向も踏まえて決めていきます。

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