ストーリー

エゾフクロウも棲む森に。北海道下川町で広葉樹200本の植林を行いました。


2024年8月8日~11月16日にかけて、more treesが「多様性のある森づくり」を進める北海道下川町にて、地域と協働で広葉樹200本の植林を行いました。

植林地は、収穫可能な時期を迎えたトドマツ林を2019年に収穫した伐採跡地0.39haです。トドマツの収穫後、天然更新(自然に落下した種子等から樹木を育て森林の再生を図る方法)した樹木については刈出し(自然に芽生えた樹木の周囲の下草を刈り、人為的に更新を補助する作業)を行いました。一方、天然更新が進んでいないエリアでは、ミズナラ50本、ヤチダモ50本、シラカンバ50本、ハルニレ50本の広葉樹200本を植林。自然の力(天然更新)と人の介入(植林)の両輪で、エリア全体の確実な更新を目指しています。

▲ピンクのテープがつけられているのが天然更新した樹木です。現地の森づくりパートナーである株式会社ヨナタントロッツのみなさんが刈出しの作業を行い、自然の力による更新を補助しています。

▲こちらは植林した苗木。植林作業は下川町森林組合のみなさんが担われており、植えた苗木には獣害から苗木を守るための保護ネットをかけています。

▲植林地内には、下川町が用意したエゾフクロウの巣箱が設置されています。希少猛禽類の棲み処になると同時に、野ネズミとも関係が。実は、北海道の林業は野ネズミによる樹木の食害と闘ってきた歴史があります。最も被害の大きかった1959年には、当時の植栽面積をはるかに上回る約11万haの造林地で6,200万本近い被害が発生した記録があり、その後さまざまな対策が試行されてきました。近年はかつてに比べて被害は減少しましたが、いまだに年間1,000ha規模の被害が報告されています。対策のなかでも主流となったのが化学農薬による野ネズミ駆除で、道内の各地で導入され、下川町でもカラマツの苗木を野ネズミの食害から守ることを目的に町有林全域で行われていました。しかし、下川町は町有林の全面積でFSC®認証(認証番号:SGSCH-FM/COC-001469)を取得したことをきっかけに方針を転換。「FSC®認証林内で使用が制限されている化学薬品をつかった野ネズミ防除をやめ、野ネズミを捕食するエゾフクロウとの関係を活かした生態的防除へ切り替えています。これにより、生物多様性の保全と経済性の両立を目指し、持続可能な森林資源の管理に取り組んでいます。」(下川町)。

下川町での森づくりは、地域で活動する森づくりパートナーのみなさまのほか、「企業の森」にご参画いただいている株式会社エヌティーエイチ様およびmore treesにご寄付をいただいているみなさまとの協働・協同で行っています。今後も「都市と森をつなぐ」をモットーに、森づくりを進めてまいります。

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