「more treesパートナー会2025」を開催しました
8月28日、「more treesパートナー会 2025」を開催し約20社にご参加いただきました。「企業の森づくり」への関心が年々高まるなか、今回お集まりくださったみなさまの業種を見るとコンサル、金融、保険、公共事業、支援、物流、化学、アパレル、精密機器、化粧品と多種多様。業種の枠をこえて森づくりに関する情報共有と横のつながりを深める機会となりました。
当日の様子をフォトダイジェストでお届けします。
プログラム概要
- オープニング|more trees 水谷伸吉、株式会社メンバーズ 萩谷衞厚様
- more trees近況報告|more trees 水谷伸吉
- 話題提供①「地域性苗木ってなに?森づくりの新しい常識」|more trees 宮﨑悠
- 話題提供②「森林の新たな価値を探る~森林浴の魅力~」|一般社団法人森と未来 小野なぎさ様
- グループワーク
- 懇親会
1.オープニング
▲more trees事務局長 水谷伸吉よりオープニングのご挨拶後、事前アンケートで寄せられた参加者のみなさまの参加動機や抱えるお悩み・課題を共有しました。参加動機上位には「他社の活用事例を知りたい」「森林保全における企業の役割を学びたい」「more treesの取り組みを知りたい」「新規事業の視点を得たい」といった声がありました。また「社内への浸透」「顧客への訴求」「支援企業間の連携」の3つがお悩み、課題の上位でした。
▲昨年に続いてパートナー会の会場をご提供いただき、企画や運営についてもサポートしてくださった株式会社メンバーズの萩谷衞厚様よりメッセージをいただきました。「日本中のクリエイターの力で、気候変動・人口減少を中心とした社会課題解決へ貢献し、持続可能社会への変革をリード」することをヴィジョンに掲げ、企業の脱炭素経営の伴走支援なども手掛けるメンバーズ様は、2013年より岩手県住田町で「企業の森」づくりに取り組まれています。
2.more trees近況報告
▲more trees水谷からの近況報告では、まず「生物多様性」に関する国内トレンドとして2025年4月に施工された新法「地域生物多様性増進法」(正式名称:地域における生物の多様性の増進のための活動の促進等に関する法律)をご紹介しました。従来の自然共生サイト制度の認定対象は「場所」でしたが、新法では「活動」が対象となり、より幅広い取り組みが国の認定対象となります。
また、自然共生サイトでは「既に生物多様性が豊かな場所を維持する活動」のみを認定対象としていましたが、新法では「管理放棄地などにおける生物多様性を回復させる活動」や「開発跡地などにおける生物多様性を創出する活動」へ対象が拡大。活動場所の生物多様性が豊かになればOECMとして国際的なデータベースに登録されます。2030年までに陸と海の30%を保全するという国際目標「30by30」の達成が危ぶまれるなか、企業や市民が取り組むさまざまな保全活動を国際目標の達成につなげていく施策として期待が高まっています。
more treesが取り組む伐採跡地への植林も「回復」のカテゴリーで新法の認定対象になったことは、活動の追い風となります。▲つづいてはmore treesが国内外で進める「多様性のある森づくり」の最新動向のご紹介。先日協定を結び25カ所目の活動地となった岡山県西粟倉村のほか、今年2月に大規模森林火災が発生し市の面積の約10%が消失したとされる岩手県大船渡市での植林プロジェクトや前週に現地視察をしたばかりのマレーシアでの新規プロジェクトについて共有しました。
3.話題提供①「地域性苗木ってなに?森づくりの新しい常識」
▲more trees 宮﨑が「地域性苗木」の重要性や広葉樹苗木生産の課題についてお話しました。
さらに、正式リリースに先駆けて育苗キット「JUBAKO」を初お披露目。オフィスや店舗でも苗木づくりにチャレンジすることで森づくりをより身近に感じていただきたいとの思いからmore treesスタッフが発案し、ものづくりパートナーと協働で製品化したものです。休憩時間になると参加者のみなさまがJUBAKOの周りに集まり、仕様や使い方などのご質問も飛び交いました。早速オフィスへの導入に向けて動き出した企業様もいらっしゃいます。今後の展開もご期待ください!


4.話題提供②「森林の新たな価値を探る~森林浴の魅力~」
▲一般社団法人 森と未来 小野なぎさ様より「森林サービス産業」「森林浴の効果」「企業向け研修の事例」「海外から寄せられる森林浴への期待」についてお話いただきました。
大学で林学を修めた後、森を人の健康に活用したいという動機から企業のメンタルヘルス対策に関わる事業に携わったという小野様が冒頭に触れたのは「心の健康」の話。「昨年、日本で自ら命を絶った方は2万人以上。出世率と比べると1日2、3人亡くなって1人生まれているような状況です。自殺者の世代を見ると40代、50代の働く世代が多く、自殺原因のなかではうつ病がダントツです」。
働き盛りの人々のメンタルヘルス不調や自殺の問題は日本社会の抱える大きな問題。企業としても様々な対策を講じるなか、森と未来は「森林浴」を軸とした事業によってこうした社会課題にもアプローチしています。日常から離れた森林空間で緊張から解放され、集中力の向上やリラックス効果によるメンタルヘルスの改善が期待できる森林浴を企業研修に取り入れている事例もご紹介いただきました。
聞き慣れた「森林浴」という言葉ですが、実は1982年に日本の林野庁が提唱したもので日本発祥。さらにいま森林浴に海外から熱い視線が注がれているというお話には会場から驚きの声があがります。
樹木が出す揮発性の物質「フィトンチッド」を浴びると健康によい効果があることが科学的にも証明され、ほかにも森が心身にプラスの影響をもたらすエビデンスがいくつも発表されたことで、海外でも「Shinrin-yoku」という言葉が広がりました。いまや日本は「森林浴の聖地」と言われ、「#shinrinyoku」「#forestbathing」とSNSを検索すると海外の投稿も多数ヒットするという状況に、日本の森林文化の魅力と森林浴の可能性にあらためて気づかされる講演でした。
5.グループワーク
▲前回になかった新しい試みとして、グループワークを行いました。森づくりなど持続可能な社会の実現に向けた各種活動を進めるなか、課題や成功例についてグループ内で共有いただいた後、今後に向けたアイディアを出し合いました。はじめは少し静かなトーンでお話をされていたみなさまでしたが、徐々に会話が賑やかに。異業種であっても共通の活動に向かっているからこそ、ふだんは相談相手のいないような悩みも理解しあい、活発な意見交換が行われました。
6.懇親会
▲最後は懇親会を行い、森づくりに取り組む企業と人のつながりを育むよい機会となりました。
今年もパートナー企業のみなさまと森をめぐる課題・可能性を共有できたことに感謝いたします。more treesは、引き続きさまざまなパートナーのみなさまとともに多様性の豊かな森づくりを進めてまいります。