ストーリー

住田町内を巡る2日目。岩手県住田町で視察研修を行いました②

10月16、17日の2日間、岩手県住田町で「多様性のある森づくり」の視察研修を行いました。1日目のトークセッションに続く2日目は、外へ出て町内3カ所を巡りました。晴天に恵まれた2日目の様子を今回もフォトレポートでお届けします。

▲最初に訪れたのは植林地のひとつ「箱根峠」。気仙地方森林組合の木下静恵さんのガイドで植林地を歩きながら、施業経緯や具体的な樹種、植え方、獣害対策などをご説明いただきました。住田町は特にシカが多く、食害から保護するための対策が不可欠です。以前は苗木1本ずつを覆う単木ツリーシェルターを設置していましたが、枝先がネットに絡まって先枯れしたり、ネットから飛び出した枝がシカやノウサギに食べられてしまっている個体が目立ったことから、獣害対策を変更。昨年からは25m四方程度の区域を網で囲うパッチディフェンスへと切り替えています。他の地域のみなさんも獣害対策への関心が高く、さまざまな質問があがっていました。

▲遠くから望む植林地。太陽に照らされ、白いツリーシェルターがよく見えました。

▲続いて訪れたのは住田町内の気仙川に架かる松日橋。300年以上続く木製の“流れ橋”で、大雨などで流されるたびに住民の方が力を合わせて橋を架けなおしてきました。今回の視察研修の少し前に大雨で橋が半分流されていたため、自然とともに姿を変える”生きた流れ橋”の姿を見ることができました。

▲松日橋の名物ガイドとして知られる松日橋維持管理組合組合長の金野純一さんが説明してくださいました。気仙川にかかる流れ橋は松日橋のほかにもたくさんありましたが、コンクリートなどで架け替えられてしまい、いま残っているのは松日橋のみ。この流れ橋は、単なる生活路という以上に住民たちの「絆」そのものだというお話がとても心に残りました。ここまで橋を架けなおし続けてきたご苦労もありながら、随所にユーモアも交えた金野さんのお話しぶりは講談師のよう。たいへん面白く、まだまだ聞いていたいほどでした。

▲視察3カ所目は、木造仮設住宅跡地につくられた交流施設「イコウェルすみた」。LIFE311プロジェクトを通じてmore treesと住田町のご縁が生まれた場所でもあります。1日目のトークセッションでも登壇していただいた邑サポートの奈良朋彦さんと伊藤美希子さんのガイドで、木造仮設住宅の展示棟と育苗施設を見学しました。

▲こちらが育苗プロジェクト「なえうぇる」の苗木たち。地元の種山ヶ原で採ってきた種を蒔いて育てています。

▲参加者のおひとり、株式会社ミチルワグループの笹嶋正吾さん。なんと、以前住田町での鉢上げイベントに参加した際、苗木を持ち帰り半年間自宅て育てていました。この日は大きくなった苗木を車で運んできてくださり、今後山へ植えるためにイコウェルすみたに戻すことに。「帰り道は苗木がいなくてひとりで運転がさみしい…」と嫁いでいく娘をおもう父親のようでした。

▲イコウェルすみたを後にし昼食をとって、2日間の視察研修は終了。帰り際、邑サポートさんから参加者全員にポストカードのプレゼントがありました。半分流されていた松日橋が対岸まで架かり、川辺には満開の桜。私たちの取り組む「多様性のある森づくり」もこうして地域と地域のあいだに橋を架けながら、人々の心を癒す豊かな風景を未来へと手渡していきたいと思います。

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