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見えないものを想像して。高知県梼原町「AOYAMAの森」で学生インターンシップを開催しました


more treesの森林保全活動のなかで、企業と地域をつないで進める取り組みのひとつが法人参加型プログラム「企業の森」です。2019年より本格的に始動し、これまでに25社が参画、31カ所で森づくりが行われてきました。高知県梼原町にある「AOYAMAの森」もそのひとつ。「洋服の青山」や「SUIT SQUARE」などを展開する青山商事株式会社様が、梼原町の仲洞地区で森づくりをはじめて3年目になります。

9月11~12日、「AOYAMAの森」に大学生を招き、青山商事株式会社様と協働でインターンシップを開催しました。これから社会に羽ばたく若者たちが、森と交わっていく2日間の様子をご紹介します。

■森を学ぶ

インターンシップに参加したのは8名の大学3年生です。緊張気味の学生さんたちのウォーミングアップとして、はじめにmore trees事務局長の水谷が森に関するレクチャーをしました。夏の異常な暑さや頻繁な豪雨など、誰しも身に迫るものがある今だからこそ、気候変動への手立てとして森林保全を行っていく意義を噛み締めるみなさん。一方、世界で進む森林伐採の速度や「ネイチャーポジティブ」という言葉、木を植えて森の手入れをする以外に家具や小物など日常に木を取り入れることも森林保全活動につながるという話は初めて知ったという声も。学生さんたちの好奇心溢れる表情が、場を温めていきました。

■森で学ぶ

座学のあとは、森づくりの体験に出かけました。森づくりとひとことで言っても、実際にはいくつかの条件が整わないと進められません。more treesが進める「多様性のある森づくり」で特に欠かせないのが「土地」「人」「苗木」。一時のトレンドに左右されず長期にわたり施業が続けられる土地があり、育林・植林を担う人材がいて、さらに植える苗木が十分に調達できることが必要です。

「AOYAMAの森」で森づくりにかかわる「人」といえば、地域おこし協力隊が中心となって起業した株式会社KIRecub です。現地のパートナーとして植林地での施業を担っているほか、昨年からは「苗木」づくりプロジェクトも始動。KIRecubのみなさんが育てた苗木を手に、学生さんたちは植林地へ向かいました。

ヘルメットをかぶり、長靴をはいて準備は万端。山々を見渡しながら、この森のこと、苗木の植え方などの説明を聞いて、いよいよ植樹スタートです。

梼原町の町名の由来ともいわれているイスノキ(別名「梼の木」)の苗木を植えました。みなさん、木を植えるのは初めての経験。汗だくになりながらようやく植え終わったところで、KIRecubの代表を務める下村さんからこんな一言が。

 「多いときは、1人で1日に300本植えることもあります」

すかさず、「えー!」「絶対無理!」と驚きの声をあげる学生さんたちでした。

続いて山を下り、苗木づくり体験へ。

▲シラカシの苗木

▲この場所は、昨年立ち上がった「KIRecub-きりかぶ苗木園」。空き地を利用して育苗用の棚を設置し、梼原町内で採取した木々の種を植え、地域の住民の方々と協働で苗木を育てています

植樹と苗木づくりでひと仕事終えたあとは、町内巡りへ向かいました。

▲大正時代の和洋折衷様式を取り入れた木造りの芝居小屋「ゆすはら座」。more trees 代表の建築家 隈研吾が、はじめて梼原を訪れた際にこの小屋に魅了され、木を使う建築へと向かう原点となった場所でもあります

▲屋根付きの木橋「神幸橋」。一千余年の歴史ある津野山神楽が舞い継がれる三嶋神社の境内に続く橋で、参道は坂本龍馬が脱藩の際に通ったと言われています

▲ひょっこり顔を出した、この土地の主。優しい目で見守ってくれました

▲隈が建築を手掛けた「雲の上の図書館」

最初の座学で「木材を使うことも森林保全活動につながることを初めて知った」という学生さんがいましたが、こうした木造の空間も「森づくり」の延長線上にあることを体感する時間となりました。

■森に学ぶ

最後は、2日間のインターンシップのまとめとして、グループワークを行いました。4人ずつ2班に分かれて、環境保全について「青山商事としてできること」「個人としてできること」をテーマに話し合い、10分ずつのプレゼンテーションへ。

現実的に取り入れられそうなアイデアがいくつも挙げられ、短い時間でしたが充実した内容の発表でした。

         ***

森を学び、森で学び、森に学んだ梼原めぐり。はじめて植林地を訪れた大学生にKIRecubの下村さんがこんな話をしていました。

「木々が紅葉する秋を迎えたとき、遠くから見て美しく見えるか考えながら植林している」

それを聞いて、現時点では見えないものを想像するという取り組みにハッとしたという大学生がいました。

今日植えた木が50年、100年、あるいはそれ以上の月日を経て大きく育ち森になる姿を、私たちは見ることができないかもしれません。それでも、受け継ぎ・受け継がれていくことの連なりの先に、今日の森、そして未来の森があるという森づくりの原点にmore treesスタッフも立ち返った2日間でした。

大学生とともに森に学んだ「見えないものを想像する」ことのかけがえのなさを携え、これからも森づくりの地道な一歩を重ねていきたいと思います。

▲学生さんたちの「えー!」をやってのけ、学生さんの心に大切なものを残してくれたKIRecubの下村さん。今回植林地で植えた苗木は、「KIRecub-きりかぶ苗木園」で育てた苗木の第一号という記念すべき日でもありました

 

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※ 本件は、独立行政法人環境再生保全機構 地球環境基金の助成(一部)を受けて実施しました

 

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